自然と眼が覚める。 今日は昨日と違い、かなり目覚めがいい。 誰にも邪魔をされず、起きれる事が何よりうれしい。 そんなことを思いながら、布団から出て時計を見る。 ただいまAM 11:00。 昨日は敷きっぱなしにしていた布団を綺麗にたたみ、押入れにしまう。 台所に行き、顔を洗う。 それですっきり重いまぶたが軽くなり、朝昼兼用の飯を作る。 作ると言っても、お湯を沸かし、カップラーメンに入れるだけ。 後は昨日買ったおにぎりとクリスが買ってくれた冷凍のから揚げ。 それを電子レンジにいれ、チンするだけ。それが今日の飯。 それを難なくたいらげ、タバコを吸う。 昨日買ったばかりのタバコはもう後二本だけになっていた。 タバコをゆっくりと吸い終わり、地べたに横になる。 そうして何分が過ぎただろう。 いつの間にかまた寝てしまい、呼びりの音で眼を覚ます。 ピンポーン。 寝起きのまんま、今日は呼び鈴を鳴らしたなと思い、 ドアの向こうに友成とクリスがいると予想した。 しかし、その予想はあっけなく裏切られた。 ドアの向こうにいたのは、 内職の仕事で使う部品などを運んで来てくれる人、 菅山 翔太さんがいた。 @
菅山 翔太
年齢、十七歳。髪は紺色で短髪。 右手の薬指に白い指輪。 グラサンをなぜだが知らないが常に二個持っている。 一つはちゃんとしているのだが、 もう一つは時代遅れにも服の襟にぶら下げている。 この人はほんとに分からない人で、 業者の服を着ず、私服で配達に来る。 しかも夏だからと言って、 いつも素足に健康サンダルを履いてくる。 それに手には無数のバンドエイドが張られている。 付け加え、いつもは配達に来る時、 銜えタバコをして荷物を運びに来る。 外見からは反対にこの人の性格は実にわかりやすい。 機嫌の良い時と悪い時の差が激しい。 悪い時には呼び鈴を鳴らさず、 まるで借金取りのようにドアをけり、 「はよでてこいや。死ぬぞ。」 などの意味不明なことを大きい声で言いまくる。 機嫌の良いときは今日のように呼び鈴を鳴らすだけだ。 @ 眼が合った瞬間(サングラスをしているのでわからないが、そう感じた。) なんとなくかしこまって挨拶をした。 「こんにちわ。ご苦労様です。」 「苦労なんてしてねぇよ。それよりこれ。」 と言ってずっと持っていた箱を玄関にドンと落とす。 俺が寝起きで頭が本調子でないことを 挨拶をしただけで察知したらしい。 「あぁそうだ、出来たヤツ持ってきます。」 と言って部屋に戻り、 部屋の隅に置いていたダンボールを持って行った。 「あいかわず早いなオマエ。来週でもよかったのに。」 「暇だったから。パッパとやっちゃいました。」 「暇なのオマエ。」 明らかに俺が暇だということに不満がある態度をとる。 「学校にもいってませんから。暇ですよ。」 「じゃ、面白いところにつれてってやるよ。来いよ。」 「どこいくんすか。」 「いいから。黙って車に乗れ。」 それはまさに、悪意のこもった行動だった。 俺は拉致られ、車でわけの分からないところに連れていかれた。 そこはクリスの家が見えるほど近い場所にあった。 といってもクリスの家は豪邸でどこからでも見えるのだが、 いつもより近くに見えていた。 そこは二階建てのお世辞でも大きいとはいえないぐらいの 小さな事務所に見えた。 その中に翔太さんは無言で俺を連れて行く。 中には黒いローブを着たいかにも怪しい集団がいた。 そこには、四人ぐらいの人間しかいなかったが、 全員フードを被り、顔すら見えない。 しかも、ライトも暗く、昼と言うのに建て物の中は暗い。 そこに入り翔太さんは誰かを探しているのか キョロキョロ周りを見ている。 すると大きな声で、 「拓海いるか。俺がわざわざ会いに来てやったぞ。」 「大声を出すな。聞こえる。」 その四人の中から一人、拓海というヤツがこっちに近づいてきた。 「久しぶりだな。拓海。お前はいつも此処だな。」 「仕方ないだろうこれも仕事だ。」 翔太さんと拓海というヤツは、 かなり親しげに肩まで組んで話し込んでいる。 「そういえばさぁ、暇なヤツ連れてきたんだ。」 「暇な人間を連れて来いなんて頼んではいないが。」 「いいから、いいから。」 突然翔太さんの携帯がなる。翔太さんは電話に出ながら、 拓海に手を合わせそのまま出て行こうとした。 そこで俺は呼び止める。 「翔太さんどこいくんすか。帰るなら俺も帰りますよ。」 というが翔太さんは無視して出て行った。 俺もそれにつづいて帰ろうとした瞬間、 拓海というヤツに肩をつかまれた。 拓海はフードをとり丁寧に挨拶してきた。 @森 拓海
年齢、17歳。今は超有名の病院で医者をしているらしい。 髪はロン毛の黒髪。眼の色も黒で 何かを見透かしたような目をしている。 右手にブレスレットをしている。 なぜか常に左手にコインを持ち、 片手で器用に手の周りを回している。 人としゃべるのがあまり好きではないらしい。 さっきと言い、今も自分のこと話しているのにだるそうだ。 @ 「初めまして拓海だ。君は。」 「仁です。鏡崎 仁といいます。」 ふーんとうなずいた後、拓海はじろじろ俺を見回した後、 とんでもない事を聞いてきた。 「君、能力は。」 俺は何のことか分かっていたが分からないふりをした。 此処のことや拓海という人物がどんな人間かを知るために。 「能力って何ですか。さっぱり分からないんですけど。」 「君は翔太から何も聞いてないの。」 「何も。」 拓海はあれこれ考えているようだった。 近くの壁にもたれ、腕組みし考えること十分。 拓海は俺に、 「此処で待ってて」 と言い放つと部屋の置くに消えていった。 そうすると拓海と十二、三ぐらいの男の子が出てきた。 その子はボウズで服は拓海と同じローブを着、 眼は死んでいた。つまり生力が感じられなかった。 拓海はその子の肩を持ち、 「今からこの子と競争してもらいます。どっちが先に死ぬかを。」 「意味わかんねーよ。何で俺が。」 「文句は翔太に言え。じゃ開始。」 拓海はその子の肩をポンとたたく。 するとその子はもうダッシュで俺に向かい走ってきた。 その速さは退く暇もないくらい速かった。 俺の前、十センチでぴったと止まる。 顔が目の前に来る。 するとその子は、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・笑った。 グサァ お腹、へその上辺りに激痛が走る。 そこにはまさに包丁が突き刺さっていた。 地面に倒れこみ、刺された所を必死で押さえる。 押さえる手にはお腹から漏れ出す液体が自分のやばさを伝える。 俺は声も出せず、笑っている少年の前で死にかけている。 死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ 死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ 死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ。 と早く鼓動する俺の心臓が脳にいちいち伝えて来る。 でも俺にはどうすることも出来ない。 「オレハ・・・・オマエダ・・・・・。」 どこで聞いたのかわからない言葉が頭をよぎる。 そんなことはどうでもいい。 どうにかしないといけないのは、 目の前で俺が苦しむのを笑ってみている少年。 どうにかしたいがどうにも出来ない。 少年は俺の背後に移動した。 最後の一撃が来ると覚悟をし構える。 すると首からぐっと持ち上げられ首を締め上げられる。 背後から来たのは、一撃ではなく、じわじわ俺を殺す長撃だった。 その腕は徐々に力が増していく。 こいつを殺さなきゃ俺は確実に死ぬ。 俺がこの状況を挽回できるとすれば、 十年前に気づいたあの力を使うしかない。 回らない頭が俺に伝える。 使い方は分かっている。 とても簡単だ。相手に触れる。ただそれだけ。 腹を押さえてた手をゆっくり伸ばす。 相手の腕を掴んだ。その瞬間、 競争は同時という形で決着がついた。 俺は意識を失いしばらく眼が覚めなかった。 俺はその間、少年の死を見ていた。 俺がいて、さっきの少年がいる。 俺とその子はなぜかまた競争をしていた。 俺はナイフを持ち、 少年は俺に一度突き刺した包丁をもっている。 少年はさっきと同じように俺に向かって走ってきて、 十センチのところで止まる。腹に何かが刺さっている。 腹から血が出で、地面に倒れる。 ここまでは今と一緒だ。でも次が違った。 倒れたのは俺ではなく少年だった。 そこで、終わった。 これは少年の死だが・・・・・・・・・夢だ。 今起こったはずのことがまた起こるはずがない。 だから、夢。 想像や幻でもない。 だって俺にはそんなものを考える余裕や そんなものを見れる時間すらなかったのだから・・。 そうすると眼が勝手に覚めた。 目の前に拓海がいる。 「起きたか。」 「俺、負けちゃったんだな。無理矢理戦わされたけど。」 拓海を睨み、どうしてくれるんだよ。と 眼で語る。 拓海は眼を逸らし、俺の横にいるのが、 気まずいのか部屋に唯一光が入る窓辺に腰掛ける。 俺は仕方なく、拓海を追い詰めるの辞めた。 すると拓海は自分から口を開いた。 「仁君さぁ。あの能力にいつから目覚めたの。」 「能力ってなんのことだよ。」 俺は知らないふりをした。 拓海がなにを考えているのか分からなかったから。 「桐谷君を倒した力だよ。」 「桐谷君って言うんだあの少年。って そんなことより俺が桐谷くんを倒した?どうしてだよ。俺は・・・・」 頭の中の思考が止まる。 「そう確かに桐谷君に触れただけだ。それに君は腹を刺され、 死にかけていた。しかし、仁君が桐谷君に触れた瞬間に意識を失い倒れた。 今は隣の部屋で寝ている。意識はまだ戻ってないけど。」 「そうか。・・・・・・すまんさっきウソをついた。 能力には十年前から気づいていた。ただ知らないふりをしていた。」 「怖かったから。」 「いいや。怖くはなかった。ただ自分が 化けもんになった時の周りの目が痛かったから。」 「周りか。随分懐かしい言葉だ。 こんなことを言えた立場じゃないけど、 いつも、そうとはかぎらないんじゃない。 自分で勝手に絶対こうなると思うルール(きまり)を作らないほうがいいよ。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 拓海がかけてくれた言葉に反応することができなかった。 それは、正直あたっていたから。 自分の中の自分だけの勝手な決まり。 今こうなったから必ず次もそうなるという決まり。 俺はそんなくだらないことに洗脳され、能力を隠してきた。 今までの自分がいかにくだらない人間か分かった気がした。 すると拓海がいきなり俺の横に来て腰を下ろす。 「仁君。君はたぶんその能力を制御できないでしょ。」 俺にこの能力が制御できるならとっくにしている。 「あたまりまえだよ。そんなことが出来んなら、内職なんてやってねーもん。」 そんな事が出来たら神様だよ。 口には出さないが心の中で呟く。すると拓海は、 「じゃ、制御できるようにしてあげるよ。」 「マジでか?」 あっさり出来ると断言した。 「あぁ、そのかわり条件がある。」 「条件?」 「君にSAPに入ってもらう。これが条件だ。」 「入る、入る。そんなことで、 この能力が何とか何ならなんにでも入ってやるよ。」 この能力のために俺はこの十年間、 人に触れることをさけて来た。 いつも決まった人間としか、つるまないようにしてきた。 それが、何かに入ることで解消されるなら、 こんなうれしいことはない。 「じゃ、そうだなそのピアス貸してくれる。」 拓海は俺をじろじろ見た後、そんなこと言い出した。 「いいよ。でも、なんに使うんだよ。」 俺は素直にピアスをとり、拓海に渡す。 「いいから、いいから。」 拓海は独り言を呟くように、ぶつぶつ言いながら、 俺のピアスを力いっぱい握っていた。 「これで、大丈夫。つけて僕に触ってみな。」 言われた通りにピアスをつけ、 何も考えず拓海に触れる。 すると、拓海は倒れることなくぴんぴんしている。 「マジかよ、マジでうれしいよ。ありがとう。」 「いいさ、それより約束は守ってもらうから。」 「あぁ、ところでSAPってなんだ。」 「もしかして、SAP知らないの。」 「まったく。」 「じゃ、いいよ。説明してあげるよ。 そのかわり、質問等は一切受け付けないから。SAPとは・・・・・・」 そこから拓海の長いSAPについて説明が始まった。 @ SAPとは、 政府が作った能殺機関で特別な人間だけが集まりで、 普通の人間や能力を使える人間で、 むやみやたらに罪を犯した者をこの世から強制除去する死事をする。 ただそれだけ。 どんな理由であろうと、どんな状況であろうと、 どんな人間であろうと正義の名の下に消す。 他にも特別な能力を持った人間が能力を私利私欲のために、 使わないように監視の意味も含めて能力者を集めている。 そんな組織らしい。 話が長すぎたため、まとめました。 @ 「・・・・・そんなところかな。だいたいは、理解できた。」 「あぁ、だいたいな。」 「仕事があれば、こっちから呼び出すし、今日の所はそんなもんかな。」 「呼び出してくれんのは良いけど、どうやって。」 拓海にはもちろん家の電話番号、携帯の番号も教えていない。 ましてや住所なんて教える気もない。 「大丈夫だよ。さっき携帯見たから。」 「・・・・・・・・・・・・・」 心の中の拓海像がバキバキと音をたて崩れ去った。 「じゃ、もう帰っていいのか。」 「いいよ。それとこれ。じゃまた。」 拓海は、俺に拓海や他の連中が着ていた同じローブを俺に渡し、 奥の部屋へと消えて行った。 俺も翔太さんに連れてこられた所を通り外に出た。 その間、ローブを着た奴らとすれ違ったが声もかけず、通り過ぎた。 向こうも俺のことを無視しているのか声もかけてこない。 外は微かに明るく、太陽が昇ろうとしていた。 大きなあくびをし血が染み付いた服を着て帰った。血を見たせいか帰っている途中、 昔のことが頭に蘇ってきた。 それは、十年前の事。 俺がまだ小学生の人形だった時。 何も考えず動いていた頃。 俺はクラスで一部のヤツに虐められていた。 虐められる理由も分からないまま、 虐めを受けていた。 毎朝会うたびに、後ろから野球のボールをぶつけられ、 靴には当たり前のように画鋲が入っていた。 教室に行けば、ゴミ箱扱い。 授業中でもどこからともなく紙くずが飛んでくる。 そんな毎日を送っているある日、ついに限界が来た。 トイレに行って大の方に入っていたら、 数人の誰かが走って、トイレに駆け込んでくる足音が聞こえる。 その足跡は俺の入るトイレの前で止まる。 その後、定番だろうと言わんばかりに上から水をかけられた。 そいつらは、ドアの向こうでケタケタ笑い、 「どうだ、う○こはちゃんと流れたか。」 いつもの男子がやったとすぐに分かった。 そこでもう限界だったというのに予想外にも女子の声も聞こえた。 「そんなんじゃ足りないんじゃない。」 するとドアの向こうの男子は、水道にホースをつなぎ、 上からまたかけ始めた。 もともと、何も考えていなかったが、 その時は、頭の中が本当に真っ白になった。 ドアを開ける。 びしょびしょになった体を動かす。 目の前にいる少年を人生で始めて殴った。 小学生だったので、そんなに強く殴っていないはずなのに、 その少年は一発で倒れ、気を失った。 周りのヤツはそいつを置いて我先にと逃げ出した。 俺は、一人、また一人と捕まえ、殴った。 最後の一人を殴ろうとした時、担任が来た。 担任は、俺が虐められていると知りながら無視してきた。 担任は、俺を見ていった。 「何してるんだ。オマエは素直に虐められてればいいんだよ。」 悲しくなるまえに殺意が芽生えた。 担任は力任せに、俺の手を握り、 殴るところを止められた。 その瞬間、 頭に学校の階段が出てきた。前には担任がいる。 すると、後ろにいた誰かが担任を突き落とし、 担任は死んだ。そこで頭に浮かんだ映像は切れた。 頭の中では三分ぐらいの映像も現実では三秒。 担任は意識を失い倒れた。 俺は最後に残った脅えきったそいつを殴った。 翌日学校に行くと、みんな俺を見て、ひそひそ噂をしている。 クラスに行きドアを開ける。 すると、クラスの全員が俺を睨みつける。 そんな視線を気にしながら机に付く。 机の上には、帰れ、学校に来るな、化け物、悪魔、死神、死ね、 とこれ以上ないほどの暴言(誉め言葉)が書き尽くされていた。 昨日気絶した子の席は空いていた。 するとチャイムが鳴り、昨日倒れた担任と他の先生が来た。 来るなり担任は 「鏡崎、ちょっと廊下に出ろ。」 と俺を廊下に出した。 担任はドアを開け、振り返り一緒に来た先生に 「後はよろしくお願いします。」 と言い廊下に出てきた。担任は、 「昨日のこともあるから当分学校にくるな、 いいな。職員室で話があるから付いてきなさい。」 と言い俺の前を歩き職員室に連れて行く。 廊下を歩き、階段に着く。 この階段を俺はどこかで見た記憶があった。 それは、そう殴ろうとしたのを止められた時、 一瞬、見えた光景。 この後、先生は誰かに突き飛ばされ、 階段から落ちて死ぬ。 周りを確認する。前、後ろ、左右。 此処には俺と先生だけ。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・笑えて来た。 そう、あの時後ろにいた誰かは、 俺以外の誰でもなかった。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・また笑えて来た。 俺の今まで働いてなかった脳がやっちゃえよ。 と初めて命令を出し、動き出しやがった。 俺はそのとおり後ろから先生を突き飛ばすことにした。 あと50センチ前に行けば確実に落とせる。 その距離を待っていた。あと一歩。 今だ。先生めがけて手を伸ばす。 次の瞬間、俺の横を誰かがもうダッシュでかけ抜け、 先生をあっという間に突き落とした。 その人物は・・・・・・・ 友成だった。 友成は手と足を震わせながら、振り返り、 俺のほうを見て、 「オマエをこんな形でしか救うことしか出来なかった。すまん。」 と頭を深々と下げる。 その光景を見た俺の頭はまた動かなくなった。 でも、感情はすごい音あげながら、 壊れるくらい動いていた。 俺の眼から自然と涙が溢れ出す。 自然と言葉が出た。 「ありがとう。・・・・・・友成。」 俺はそのしてはいけない行動に助けられた。 一瞬の出来事だったが、 今までこんなにうれしく感じたことはなかった。 俺たちはとりあえず、 担任の様子を確認しに階段を下りた。 担任は頭から夥しい量の血を流し、痙攣していた。 俺たちはその後、周りに誰もいないこと、 誰も今の出来事を見ていなかったことを確かめ、 職員室に向かった。 職員室にいる女の先生に、 担任が階段から滑って落ちて死んだと話し、 先生の死んだ階段へと連れて行く。 先生はすぐに職員室に戻り、警察に電話をした。 俺たちはその先生の死体と向き合いながら、 子供ながらに、ちゃんと口裏を合わせた。 三十分して警察が来た。 警察はまず現場検証をし、俺たちに軽く事情聞き、 検察が先生の死体を運び出す。 俺たちは警察署に連れられ、 二時間みっちりと事情聴取された。 その後、俺は大家さんに引き取られ、 友成は親に引き取られ家に帰った。 家に帰ったころにはすでに六時を回っていた。 その次の朝も警察にいき、事情聴取された。 その後、騒ぎをでかくしたくないと言う学校の言い分もあり、 先生の死は事故死としてかたずけられ、 その事件は静かに幕を閉じた。 そんな昔のことを思い出しているといつの間にか、 アパートの前まで戻ってきていた。 どう戻ってきたのかも分からないが、 考えることもせず、アパートに入る。 自分の部屋に行き、ドアを開け入り、服も着替えず、 居間でそのまま寝ころび眠りに付いた。
ピーンポーン。 そんな効果音で眼が覚める。 ピーンポーン。 体がだるく動けない。 ピーンポーン。 頭が覚めていないせいか、 幻聴に聞こえる。 ピーンポーン。 無視していれば、 また寝むる事のできるしんどさがある。 ピーンポーン。 うざい。死ね。 ピンポーン。 本当の呼び鈴がなったため、 重い体をゆっくりと起こし、ドアを開けに行く。 あくびをしながら、ドアを開ける。 そこには、やはりいつもの二人がいた。 「オイース。・・・・・・って大丈夫か、仁。」 友成が俺の胸倉を掴み、揺する。 「何が。ただ眠いだけだよ。」 俺は掴まれた手を振り解くのもだるいほど眠かった。 「何がって。・・・・・クリス、この頭が冴えないバカに、 状況を説明してやってくれ。」 友成がクリスに視線を向け、 早く状況を分からしてやれと促す。 「Tシャツにおもいっきり血がついてるぞ。 普通の人間なら生きてないほどの血が。 ついでに大きく何かに切られたようにTシャツが破けてる。」 そう言われてTシャツに眼をやると、 白いTシャツは元の色を留めておらず、 赤い血が固まり、どす黒い色になっていた。 それに、お腹の辺りが破けており、 どこかの民族衣装のような感じになっていた。 俺は昨日のヤツかと動かない頭で 何とか思い出し、納得する。 「昨日、ちょっと包丁で刺されてさ。 ほんと笑っちゃうよな。」 と自分でもわけが分からないが笑った。 たぶん、動かない頭でも分かっていたと思う。 こいつらだけには、心配をかけちゃダメだって。 「大丈夫か。病院に行った方が良いんじゃないのか。」 「車が要るんならすぐに用意をさせるぞ。」 ほんとにこいつ等ときたら、 いつもはふざけているくせに、 こういう時の眼はかなりマジになる。 まぁ、それはこいつ等とつるみ始めてから、 当たり前のようになったことだ。 「大丈夫だって。血も止まってるし、 傷も深くない。だから心配なんてすんな。」 「オマエがそういうなら、大丈夫なんだろうけど。」 友成はマジで心配そうに俺を見る。 クリスも俺の傷をまじまじと見ている。 「もういいから、あがっていけよ。 食うもんとか何にもないけど。」 と俺は二人を中へと進めた。 しかし、 「今日はやめておく。いつもならかまわずあがるが、 そんなオマエを見て、ふざけてもいられない。友成はどうする。」 クリスはあっさりと俺の誘い断り、 友成の背中を見る。 「今日は俺も止めとく。明日また来るよ。」 友成も俺の誘い断り、俺に悲しげな視線を向ける。 「そうか、じゃ、また明日な。」 俺は玄関で二人を見送り、 二人は帰っていった。 俺は一人、居間に戻り、残り二本のタバコの内、 一本に火をつけ、時計を見ながら吸った。 ただいま午後3:00 とりあえず、昨日着ていた服を脱ぎ洗濯機にいれ、 新しいTシャツを着た。 ズボンはそのままどこにも行く予定がないので、はくことにした。 これといって何もすることがないので、 飯を食べることにした。 台所に行くと、これも残り二個のカップラーメンとおにぎり、 冷蔵庫にはクリスからもらった冷凍のから揚げがあった。 いつもと同じメニューだが、文句を言ってもしょうがない。 いつもどおり、ヤカンでお湯を沸かし、 から揚げを電子レンジで温める。 そして、いつもと同じように食べ、 お腹を満たす。 そのまま、かたずけもせずに、 残り一本のタバコを吸う。 タバコを吸い終わり、後かたずけをして、 新しい内職を始める。 今回の内職は、パソコンの部品を作る内職だった。 パソコンの部品といっても、小さい一部の部品。 それをテレビも見ず、熱心に作った。 作るのは簡単なのだが、その量ときたら半端じゃない。 こんな小さな部品、 例えるなら携帯のボタンくらいの大きさしかない部品が、 お菓子とかがいれられるダンボールに、 一杯になって運ばれてくると考えてもらえばいい。 一個一個が単純作業で、 小さいせいか眼に疲れが溜まる。 今、やったので何回、瞬きをしたことか。 それでもこつこつと夜までやり続けた。