俺はSAPの任務で、 と言うよりは兄貴のパシリとして買出しに行っていた。 政府のヤツに見つかると厄介なので、 コートに深く帽子を被り。変装を完璧にして。 スーパーでやたらと買った。 まずは酒。 兄貴曰く、これがないと夜を迎えれないらしい。 次はつまみ。 拓海曰く、これがないと酒が飲めないらしい。 次はタバコ。 親父曰く、これがないと生きていけないらしい。 次はお菓子。 七倉、桑本曰く、女の子の必需品らしい。 次はジュース クリス、友成曰く、男の子の必需品らしい。 結局、全員のパシリとして俺がスーパーに買出しに来た。 なんで俺かって。一人だけ欲しいもなんてない。 と答えたばっかりにこの有様。 両手に大量の荷物を抱えながら、 帰っていると、異様に眼を引く人間が反対方向から歩いてきた。 何故眼を引くか。ソイツは俺と同じような格好をし、 俺よりも深く帽子をかぶり、顔を隠していた。 だから、純粋に気になった。 ソイツは俺とすれ違いざまに、 「オマエは俺だ。」 なんてわけのわからないことを いいながらすれ違いやがった。 「おい、待てよ。」 思わず呼び止めてしまった。 するとソイツは振り返り、俺を見ている。 「何だよ、オマエ。誰だ。」 「俺はおまえさぁ。」 ソイツは意味のわからないことばっか言いやがる。 「殺すぞ。」 「いいねぇ。オマエはそうでないと。」 「誰だ。殺す前に名前ぐらいは聞いてやるよ。」 「鏡崎 仁。」 そう言いながらソイツは深く被っていた帽子を取って見せた。 そこには言葉の通り、そこには俺がいた。 俺に双子はいないし、ほんとに鏡を見ているような感覚に襲われる。 言葉が出ない。手に持っていた荷物まで落としてしまうほど。 頭の中が真っ白になり、殺す気も失せた。 ソイツは俺に笑顔で言いやがった。 「この姿で会うのは初めてだな。 オマエハオレダ。忘れるな。」 なんていいながら、再び帽子を被り、 俺とは反対方向に歩いて行った。 「仁くん。」 呼ばれて振りむくと、 七倉が手をふりながら近づいてきていた。 俺は落とした荷物を拾い上げ、 アイツがいった方向を見直した。 しかし、そこにはそいつの姿はなく、空を見上げると 空へと羽ばたく一羽のカラスがいただけだった。 THE END