眼を開ける。
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眼に映るのは、天井の色。
白い天井は、綺麗ではなく、ほこりや雨漏りで黒みがかっている。

音はまったくない。
隣のいかれたオッサンのうなり声を除けば。
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あぁ、俺は、この天井眺めて、もう何年になるだろう。
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あぁ、俺は、この牢獄と言う部屋に来て、もう何年になるだろう。
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眼を開ける。 天井は白く、かなり綺麗。 ピッ、ピッ、ピッ 俺の隣では心音機が心地よく鳴る。 体を起こす。ベットには丁寧にオレの名前が書いてある。          菅山 翔太 これが俺の名前。性格はよく自分でもわからない。 でも、たぶん正常じゃないことは確か。 ・・・・・体は。そう思い体を見ると、 あっち、こっちに包帯が巻かれ、ミイラ男の状態になっている。 こうなったのもアイツのせい。 すべてあいつの・・・・・・・・ 一年前 高校三年の春 俺は勉強がかなりでき、進路も二年の間に決まり、 誰とも仲良くならない、そんな性格も重なり、 回りの人間から痛い視線を送られる高校生だった。 って言ってもつい先日高校を辞めちゃったオレ。 授業があまりにつまらなく、先生に難しい質問をしたら、 「ストマックエイク」といわれ、英語の先生に逃げられた。 だから、先生を追いかけていった。 トイレの大に逃げ込んだ先生に、 扉をおもいっきり蹴ったりなぐったりしてとことん突き詰めた。 そしたら先生が大声で泣くもんだから、 他の先生が来て止められ、家に強制的に帰された。 次の日、学校に行くといきなり校門で担任に拉致され、 校長室で、校長から卒業証書を無言で渡された。 それで学校を辞めた。 でも、次の日普通に学校に遊びに行った。 いったのは、なんとなく習慣で。教室に行くと、まだ席は残っていた。 周りのやつらは、俺をまるで死んだやつが、現れたみたいなそんな目で見やがる。 でもそれは、今までどおり。 自分の席に座り、かばんからゲームの雑誌を出し、 見ながら次に何のゲームを買うか考えているとチャイムが鳴る。 担任が来てすぐに俺の前に来た。 当たり前だが家に帰された。 その帰宅の途中に、公園に寄った。 家に帰ってもやることはいつもと同じ。 好きなゲームをして飽きたら、 ネットで人のサイトを荒らしまくるだけの価値のないこと。 だから、公園のベンチに座り、普段しない公園に咲く綺麗なまだ緑色をした 紅葉を見つめていた。 心地いい風が吹き、なんだか癒される。 ベンチに横になり、かばんを枕代わりにして、空を見上げる。 見ているとだんだん睡魔が襲ってきた。 昨日、徹夜でやったゲームのせいだろう。 俺は気持ちがよくなり、そのままそこで寝てしまった。 眼が覚める。 起きると、いつの間にか傾いていた太陽のせいで、 辺りは赤く染め上げられていた。 紅葉は朝見た紅葉より綺麗に見えた。 あくびが出る。少しそのままでいた。 もう、ここでも、寝れそうになので、かばんを持ち、帰ることにした。 公園から出ようとした時、 目の前に同じ制服の来た見たことのない生徒がいた。 その子は黒髪で片方の耳にだけ赤く輝くピアスをして、 優等生なんだかそうでないのかわからない格好をしていた。 その子はまさに、2人の男にレイプされてる真っ最中だった。 その二人は、背中を向けていて、 誰だかはわからないが、うちの学校のやつに間違えない。 オレはなんとなくうれしかった。 理由は、人生に刺激がほしかったからただそれだけ。 だからオレはなんとなく助けに行った。二人の肩を掴み、 「お前ら何やってんの?」 軽い口ぶりで声掛けた。 2人は手を止め、こっちに顔向ける。 「何か文句あんのか?」 一人の男が胸倉を掴む。 よく見るとうちのクラスの翼 晃と木部 直弥だった。 しかし、別に誰でもいい。とにかく誰かを殴りたい気分。 二人もオレとわかっていても止める気はないらしい。 「あるね。」 「あん?」 「目障りなんだよ。」 胸倉を掴む手を振り払い、まず、翼の股間を勢いよく蹴り上げる。 翼は股間を押さえてかがむ。押さえながら少し顔上げオレを睨む。 「やりやがったな。お前」 そこに、顔面に正面から蹴りをいれる。白い粒が中に舞う。 鼻から血が出、口からも出だ血と連結している。空いた手で口をふさぐ。 「黙れ、クズ。そこで悶絶してな。」 これで一人片付いた。 木部は今時の子供らしい折りたたみのナイフを出し構えている。 そして震えもせず、確実に俺を殺そうとしている。 だが、オレにはこんなにうれしい状況はない。 なんだか期待どうりの展開が面白い。 こんな状況をくれた神様に感謝すら覚える。 木部はナイフを前に出し、オレの腹めがけて突進してくる。 さすが、陸上部。普通のやつよりは早い。 でもこれくらいでないと楽しくない。 だが、残念ながらかわせる。 オレは軽く左足を引き、体を横にしてかわした。 左のわき腹をかすり服が切れた。 オレはとおり過ぎようとする木部に思いっきり膝を入れた。 体が一瞬間つの字に曲がり、少し空中に浮き、地面に倒れる。 地面に倒れた、木部はまだ、大事そうにナイフを握っていた。 オレは、靴のかかとで踏み、じりじりねじる。木部は、かすれた声で 呻{うめ}いてナイフを離す。オレはそのナイフを拾い、ナイフを空にかざし、 逆手に持ち替え、木部のふくらはぎに突き刺した。木部は悲鳴を上げながら、体を丸め、 ふくらはぎを押さえている。これで二人ともカタズいた。 オレにすぐさま爽快感が襲ってきた。 「なんて気持ちがいいんだ。いいストレス解消になった。 ありがとう二人とも。」 言った後、オレは気がついた。今まで完全に無視していた、 女の子はいつの間にかそこにはいなかった。 「逃げたか。いたぶってやろうと思ってたのに。仕方ない。」 オレはそういい、前のめりになり二人が倒れたせいでズボンに付いた、 砂をはらっていた。地面に目の前に立とうとしている影が見えた。 オレは気にせずなかなか取れない砂を精一杯払っていた。その影はオレの前で止まった。 二人の仲間かと思い体を起こした。 そこには大きく眼を開いたさっきの女の子がいた。 そう思った瞬間、腹に何かが刺さる。女の子は、オレを蹴っ飛ばし離れる。 オレは座り込みながら女の子を見た。 オレに刺したのは、さっき確かに木部に刺したナイフ。 腹を見ると服の上からでもわかるぐらいの血がにぢんできている。 腹を押さえ必死に立とうとしているオレに女の子は不適に、 にやつきながら近づいてくる。 さっきの爽快感がなくなり、恐怖を感じ始めていた。 女の子はオレの真正面に距離とって立ち止まり、 いきなりオレに向かい、ナイフを投げた。 避けられず、肩に刺さる。体が揺らぎ前に倒れる。女の子が歩みよって来るのが、 靴の音でわかった。 その音はあまりにも軽快で、 なにか新しい玩具を発見したかのようだ。 顔を動かし見上げる。前で止まる女の子の下半身見えた。 女の子はポケットに手を突っ込み、すこし探った後、 ポケットから果物ナイフのようなものだし、 ナイフをじっくり見ているのか何もしてこない。 するといきなり、オレの背中にナイフを走らせる。 彼女は息もきらさずに、何十回もオレの背中に線を入れた。 そして肩を掴みオレを仰向けにし、また切り始めた。 オレの体には赤い線が所狭しと描かれている。 頬、眼、鼻、耳、肩、掌、腕、腹、股、脛、背中。 これ以上切る所がないというほど切られた。 女の子はもう片目しか開けられない変り果てたオレに、 「お前のほうが目障りなんだよ」 といい、視界からいなくなった。その声は、 普通の女の子が出す高い声には程遠く低い声で、 機能しなくなったオレの脳にも残る声だった。 少しすると近くで男の悲鳴が二つ聞こえた。 その後オレは今あったことを忘れるように、 意識を失った。 意識が戻る。 眼を開ける。 天井は白く、かなり綺麗。 片目は眼帯がされていて、見えない。 ピッ、ピッ、ピッ 俺の隣では心音機が心地よく鳴る。 体を起こす。家のベットより綺麗で白い、 気持ちのいいベットに寝ている。 こうなったのもアイツのせい。 すべてあいつの狂いきった行動のせい。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ またべットに横たわる。 体に力が入らない。あっちこっち切られたせいで。 だるい。誰もない個室でテレビすら置いてくれていない。 でも、たまにはいい。何もしない一日も。 ガラガラガラ ドアが開く。 看護婦さんが来た。 ガラガラガラ 俺に背を向け、丁寧にドアを閉める。 俺に向かい歩いてくる。その姿が誰かとかぶる。 殺される。動かない体とは、対照的にかなり動く脳。 「それ以上近づくな。」 体が動かない分、大声を出した。 看護婦さんはぴたっと止まり、優しい声で、 「眼が覚めたんですね。よかった。 あなた、二ヶ月も眼を覚まさなかったんですよ。 先生呼んでくるからちょっと待ててね。」 と言い、ゆっくりと部屋から出て行った。 俺は何かに脅えベットの中にもぐりこみ震えていた。 看護婦さんにではなく、 その近づいてこようとする何かに。 ずっとベットで寝ていたが、誰も来ない。 看護婦さんも先生も。 さっきの震えも治まってしまうぐらい。 すると ガラガラガラ 「遅くなってすみませんね。手術が立て込んでて。」 先生と看護婦さんが入ってきた。 「君はもういいよ。他の患者を診てきなさい。」 「わかりました。」 と言い、先生は看護婦さんは部屋から出で行った。 ガラガラガラ ドアが閉まる。 先生が寄ってくる。 なぜかさっきのような恐怖感はない。 むしろ親近感すらわく。 先生は寝ている俺の横に来て、椅子に座った。 「久しぶりだね。まさか翔太君とこんな形で会うなんてね。」 言いながら、俺の体に付いた心音機のやつと眼帯を取ってくれた。 「先生、俺は先生と会うのは初めてなんですけど。」 「忘れたの?あの時は僕も精神科の方にいたから、わからないかなー。 須藤だよ。須藤」 自分の記憶を徐々に思い出す。 記憶のどこを探しても須藤なんて医者に世話になった記憶はまったくない。 「先生に会うのは初めてです。・・・・・・・たぶん」 「覚えてないだけだよ。きっと。 まぁ、そんなに無理に思い出さなくてもいいよ。 まだ怪我人なんだし無理しないで。じゃ、また後で来るよ。」 と言い、先生は出て行った。 その後、怪我のことなんてすっかり忘れ、 自分の幼いころのことを思い出していた。 どうしてもあの先生の話方に違和感を感じたから。 記憶のどこを探しても須藤なんて医者に診てもらった記憶はない。 本当に俺が覚えていないだけかもしれない。 でも、成績優秀で一般人より早く卒業した俺としては納得がいかない。 確かに小さい頃、風邪をひいたりして病院には行った。 だが、それは近所の小さい行き付けの病院。 精神科なんて行ったことがない。 気がつけば、日がもう傾いていた。 部屋は、もう太陽の光がなくなり薄暗くなっていた。 頭の上にある蛍光灯に灯りをつける。 いつも夜更かしをしているせいか普通、寝る時間でも寝れない。 ガラガラガラ ドアが開く。 こんな時間に誰かなと思い、体を起こす。 体を起こした瞬間、頬に何かかすった。 後ろの壁をみるとそこには、ダーツのように刺さったメスがあった。 前をみると、そこに両手に二本ずつメスをもった須藤先生がいた。 ベットから降り、先生の正面に立つ。 「ほしいなぁー。あれで殺そうと思っていたのに。 やっぱり人を殺すって事は簡単じゃないな。 十人目になると、なかなかうまくいかないものだ。ねぇ、翔太君。」 「どういうつもりですか。先生。」 「どういうって、見てわからない。君を殺すつもりなんだよ。」 「マジですか先生。」 「かなり。マジだよ。」 そういい放つと須藤は左手に持っていた二本のメスを、 二つとも俺の心臓めがけて的確に投げてきた。 俺は今まで寝ていたベットの布団を自分の姿が隠れるように前に出し、 メスを防いだ。その瞬間、布団越しに突進され、 壁に背中を打ち付ける。打ちつけた背中よりも、 右腹に激痛が走る。須藤は残ったメス二本を俺の体に突き刺していた。 須藤は俺から離れず、 メスを奥まで突き刺しにかかっている。 「僕は僕の過去を知るやつを生かしておけないんだよ。 だから、ここで死んでくれよ。 君のその体なら傷がひとつ増えても、 誰も他殺だなんて思わないからさ。死でよ。」 「なんて医者だ。でも今、すべてを思い出せたよ。須藤。 ・・・・お前のつまらん人生もここで終焉だな。」 そういい俺は須藤の最初に投げた壁に刺さるメスに手を伸ばし、 メスを抜き、そのまま須藤の背中に刺した。 何回も何回もおれの気分が晴れるまで。 そのたび須藤の背中から血が飛び散る。 何回目だっただろう。 ようやく須藤は前のめりに倒れた。 「また会う時は、・・もっと・・・俺を楽しませてくれよ。」 俺はすぐさま布団越しに刺さるメスを抜き、 血の吹き出す腹を押さえながら、その場から去った。 うざい警察に連れて行かれるなんてむかつくだけだから。 夜の病院を駆け抜け、夜の街を走った。 走りながら思い出す。 アレは親の付き添いで行ったときだ。 俺の親は二重人格者で、 その治療で通っている病院に須藤も患者として通っていたのだ。 須藤はかなりひどかったみたいで、その時の医者は 「君のお母さんはまだましでよかったね」 なんて言われた事を思い出した。 須藤はそのことがばれて医者を辞めるのがいやで人を殺してきたんだろう。 実にくだらん人間だ。甘すぎる。人間として。 ところで俺はどこに向かって走っているのかわからない。 でも、とにかく走った。傷口からは、止まることを止めない血が出でくる。 走ってるとだんだん視界がぼやける。 すると目の前に誰か立っている。 一瞬、間が空く。そいつは俺に近より血が出でいるのを眺め、 左腕を持ち、どっかに連れて行く。 でも、抵抗する力もなけりゃ、声もあげられない。 俺はそいつに引きづられながら、寝てしまった・・・・・・。 ・・・・・・眼が覚める。 庶民的な家の天井が見える。 そこに不意に意外な人物の顔が飛び込んでくる。        菅山 真治 俺の兄貴だ。 「ようやく眼が覚めたか。どうだ。お目覚めがてらにタバコでも吸いますか?」 「いらないよ。」 「あっそ。人付き合いの悪いやつ。」 そこには窓を開け、窓側に腰掛けて、タバコを吸う兄貴がいた。 体を起こす。 お世辞でも綺麗とはいえない布団から出て黒いソファーに腰掛ける。 「いきなりで悪いけど、お前、誰かと殺し合いでもしてきた。」 この兄貴ときたら、昔から遠慮せずに何でも、 ストレートに聞いてくる。 「まぁね。」 「ふーん。お前がねぇ。やっと、一人前の人間になったてことか。」 「どういう意味だよ。」 「一人前の人間は、人の一人や二人殺して何ぼだって事だよ。」 「じゃ、あんたも死ぬか。」 「やってもあげてもいいよ。死にたいなら。」 と言いタバコ吸う。 実はこの兄貴、同じクラスだった人間を きもかったと言う理由で五人ほど殺しやがった人間だ。 それが確か小6の頃の話。今は仮保釈中らしい。 「ところで、あの時、道路であって助けたのは兄貴だったのか。」 「いや。台所で飯作ってる拓海が連れてきた。」 台所では、存在感をまったく感じさせない拓海と言う男が 台の上にのった電子レンジの横でポケットに両手を入れ立っていた。          加藤 拓海 兄貴の昔の友達。 拓海は、医者をしていて、患者を無駄に手術したせいで、 警察から追われているらしい。 「どーも。」 だれた感じで挨拶をしてくれた。 俺も軽く頭を下げる。 「お前、礼ぐらいしろ。 ここまで運んできてくれたのも、傷口縫ってくれたのも全部拓海だぞ。」 「兄貴は何してたんだよ。」 「見てただけ。早く礼をしろ。礼を。」 兄貴に頭を押されながら、傷口を見ると それは見事に縫いあわされていた。 しかも丁寧に。他の傷の包帯までも変えられてる。 「助かりました。でも外に出ていいんですか。追われてるんじゃ。」 「外に出ないと食いもん買えなし。」 拓海がしゃべり終わるとタイミングよく チーンと電子レンジが鳴る。 「できた。」 「おっ。ありがとな。」 拓海は電子レンジを開け、中の皿を片手でとり、兄貴の足元に置く。 兄貴はどこから出したのか、割り箸を親指に挟み手を合わせ、 すぐに電子レンジで暖められたお好み焼きにかぶりつく。 拓海は俺のほうをじっと見て、 「君も何か食べる?」 「何かあれば。」 「じゃ、その袋の中から選んで、暖めるだけだから。」 拓海が指した袋の中をあさりに行く。 袋には、冷凍食品のみの健康に悪そうなものばかりが入っていた。 兄貴が足で俺の頭を殴る。 「早くしろ。拓海が待ってるだろうが。」 拓海の方に眼をやるとさっきの位置からまったく動かず俺を待っている。 「じゃ、これで」 俺は、冷凍の焼き飯を渡した。 「だめ。これ俺のだから。」 拓海が言う。しかたなく俺は一番上にあったエビチリを選び渡した。 拓海は手際よく袋を開け皿にだし、さっきと同じポジション付き、 タバコに火をつけ吸いながらまた待っている。 俺は頭の中で引っかかっていることを聞いた。 「なんで、俺を助けたんですか。」 「死にそうだったから」 兄貴が後で爆笑していた。 俺はもう一回拓海に聞いた。 「なぜ、俺を見殺しにしなかったんですか。」 「昔の俺と同じにおいがしたから。」 それ以上拓海はしゃべらず黙り込んだ。 兄貴は、沈黙に耐え切れなかったのか、 食べきった後の皿をかたずけ、テレビをつけ見始める。 チーン また電子レンジが鳴る。 拓海はさっきとまったく同じ格好で持ってきた。 「どうぞ。」 「どうも。」 俺は拓海から、皿を受け取り、 兄貴がまたどこから出したかわからない割り箸を受け取り、 食べ始める。拓海は自分の分を作りに台所に戻る。 テレビを見ていると、昨日俺が居た病院が映る。 それは殺人事件が起こった場所としてニュースで流れていた。 さすが兄貴と言うべきか、長い付き合いというべきか、 兄貴は、それを見た瞬間、俺の顔も見ずに、 「お前医者とやり合ったのか。・・・。 そうだ。付けられた傷、直してもらえばよかったのに。」 「殺すぞ。」 兄貴は俺の言葉を気にしていないのか、独り言のように言う。 「おまえさぁ。やるならばれない様にやれよ。 死体かたずけるとかしてさぁ。」 「しかとかよ。」 「そうだ。ベットに寝かして布団かぶせとけばよかったじゃん。」 「・・・・・」 拓海が見かねて、俺を援護してくれた。 「真治。弟君、何かしゃべってるよ。」 「なんか言ったか。」 「別に。」 「あっそ。じゃ、今度俺が人の殺し方を伝授してやる。」 「ありがと。」 拓海の言葉にも問題ありだが、 それより俺は兄貴にイライラしていた。 ここにいると不輸快きまわりないので、 ソファーから立ち、床に落ちていた学欄を着て、 拓海の前をとおり、部屋を出ようとノブに手をかけた。 「そこトイレだよ。外に行くなら、奥の扉だよ。」 「すいません。」 「外行くなら、何か買ってきて。食べれるやつ。」 そういうと拓海は財布から二千円を出し、俺に渡した。 兄貴は出て行こうとする姿を見るなり、 「お好み焼き買ってこいよ。」 「僕は、焼き飯でいいよ。」 二人とも自分の食べたいものだけ、 行ってこの犯罪者を見送った。 二人のペースには、さすがの俺も敵わないと思った。 たぶん、二人とも犯罪者で強いことは分かるが、 あんなに、やる気のないやつらとは、やる気力さえ奪われてしまう。 そんなこと考えながら、 俺は看板が見えるコンビニへ散歩がてら向かった。 すごいかなしい事だが、行く途中誰とも会わない間にいけた。 会ったもんなら、軽くぼこって金でも貰おうかと思っていたのに、 誰とも会えなかった。 コンビニに着くと俺は頼まれたものと、カップラーメンとマルボロを買った。 タバコを買おうとしたら、眼鏡をかけた中年のおっさんが 「未成年にタバコは売れないんですよ。」 なんてほざきやがるから、 一発殴って、売ってもらった。 「コスプレです。」って言う手もありだったんだが、 そんな気分にもなれず、殴った。 俺は、そんな事をしていたので、すっかり遅くなった。 日はもう傾いており、ゆっくりと歩きながら、急いだ。(ウソ) もう兄貴の部屋に着きそうなとき、一人の女の子とすれ違った。 遠くにいってても分かるぐらいその女の子の服は、 血で真っ赤に染まりきっていた。 その子はフードを被り、顔を下げたまま歩いていた。その右手には、 それでやったと思われる武器{えもの}が握られていた。 武器「えもの」からは、新鮮な血が、今もなお垂れていた。 俺はすれ違った後も、その子の後姿を見つめていた。 俺はその子の後姿が見えなくなるまで見送り、 部屋に帰った。 いちよう、兄貴の部屋なので、ノックをしてから入った。 「たたいま。」 「遅いんだよ」と罵声が飛んでくると思っていたのに部屋からは、 物音ひとつしない。靴を脱ぎ、ゆっくりと部屋に入る。 部屋の中は、傾いた太陽のおかげで赤く染め上げられ、 床には、変わり果てた兄貴と拓海の死体が転がっていた。 兄貴は首がなく、手も足もない。体は仰向けに寝ていて、 心臓が床に出ていた。 拓海は手も足も首もある。だが中身がない。 体はうつ伏せになっていて、背骨の辺りから、 内臓、肝臓、大腸、小腸、十二指腸、腎臓、 それらのものがすべて抜きとられていた。 拓海の手には、ひとつのナイフが握られていた。 拓海と兄貴に共通していたのが二人とも舌を切られているのか、 口から大量の血を吐き、血だまりで顔を真っ赤に染めていた。 俺は買ってきた来たものを落とし、ひざまずいた。 想像もしなかった。まさかこの二人が殺されるなんて。 頭が真っ白になる。 この二人だって、 ある程度の人間なら返り討ちにできるぐらい強いのに。 頭の中に帰りに会った女の子の姿が蘇る。 俺は、居ても立ってもいられなかった。 俺の何も考え出せない頭が、今、この瞬間答えを出せた。 殺せ、あいつを殺せ、誰でもいい殺せ、生きてるやつ全員殺せ。 俺はすぐさま立ち上がり、 拓海が握っていたナイフを奪い取り部屋を出た。 俺は、道路に血によって付いた女の子の足跡を ゆっくりと一歩一歩確かめながら、追った。 一歩一歩追っていくたびにその血は新鮮さ増していく。 血(足跡)はコンビニの角を曲がり誰ものぼらなそうな長い坂に続いていた。 坂の上に彼女はいた。 彼女は俺の姿を見ても逃げず、 俺が坂を上るのを待っているかのようだった。 俺は一歩一歩脚を踏みしめ、ゆっくりと坂を上がった。 俺は彼女の正面に立ち、ポケットからタバコを出し火をつけ、 「いかれた殺人者はお前か。」 分かっていること聞いた。 頭に血が上りまともに脳が働いていなかった。 彼女は被っていたフード脱ぎ、楽しそうな顔で、 「だったら」 「バラす。兄貴や拓海のようにな」 「正義感が強いのね貴方」 その答えを聞いた瞬間に彼女に向かい走り、 懐に閉まっていたナイフを出し、縦に走らす。 彼女はそれをさっらとかわし、バック転して距離をあける。 俺はその距離一気に詰め、もう一回ナイフを今度は横に走らす。 彼女はその行動を予測していたのか、俺より先にナイフを俺の脚に向かわせる。 足から血が吹き出す。前に切られたところだったのか、かなりの血が出る。 彼女に切られた後、彼女の伸ばした手に残るナイフをはじき飛ばした。 「お前もあいつのように死ねよ」 「誰か殺したの?」 ナイフをなくしたというのに彼女は、まったく平気な顔でいる。 むしろナイフを俺が弾き飛ばしたことを嬉しがっているかのようだ。 「一人殺したよ。哀れな医者を。」 「テレビに流れていた?」 「ああ」 「あはははははははは。残念。あいつを殺したのは私よ。 貴方が部屋から出たあと私が、顔をめった刺しにしたら死んじゃった。」 「お前が?」 彼女の顔は常に笑っていて、 無邪気な子供のような笑顔を向けてくる。 「それに、覚えているかしら。 木部君と翼君をやったのも私よ。気がついてくれていたかしら。」 忘れもしないあの眼。 それに片方だけしている赤のピアス。 「ああ、覚えてるよ」 「貴方が殺し損ねた人間はすべて私が殺してあげたのよ。 貴方は SElF−STYLED MURDERER ね。」 「そんなこともないさ。今から一人狩るところだかな。」 今度は逃げられないように、動作なしで走り、 ナイフを心臓めがけて、下から狙う。 彼女は避けず、素手で俺のナイフを受け止めた。 「殺すぞ、お前。」 タバコを銜えながら、渾身の力で振り上げる。 しかし、ナイフは動かない。彼女は手から血を出しながらも、 顔の色ひとつ変えないで、握り押さえている。 彼女はそのまま、腕を左に傾かせ俺の腕を捩じろうとしている。 俺は口からタバコを飛ばし彼女の左目に当てた。 彼女の力が一瞬弱くなる。 それでけりは付いた。そのままナイフを体から顔まで走らせた。 しかし彼女は、後ろによろめきながらも倒れず立っている。 「もっと、私を楽しませてよ」 彼女は顔と体のから血がたれて、 左眼は焼け黄色い膿が出てきて、 まともに機能していないのに倒れず、 むしろこれからだ、と言わんばかりに俺に向かってこようとしている。 俺は彼女のナイフを拾いに行き、 「じゃ、ナイフを持ってよ。 そうしないと楽しめないだろ。」 「意外と優しいのね。貴方。」 俺は彼女に向かい山なりにナイフを投げた。 投げると同時に俺は走り、彼女がナイフに眼を向けている瞬間に、 彼女の胴体めがけてナイフを突き刺した。 彼女の口からは、夥しい量の血が放出される。 俺は彼女と体を密着させさらにナイフを捩じり、突き入れる。 彼女はさらに口から血を吐きながらもナイフを掴んだ。 「貴方って、最低ね。」 「悪いが、お前が楽しいかどうかなんてどうでもいい。 ようは、俺が楽しいかどうかなんだよ。」 「同感だわ」 彼女はそういうといきなり俺の服の襟を掴み、 片方の肩だけはだけさせ、大きく息を吸い込み、 俺の肩に喰いちぎるように噛みついた。 俺は大声を上げてしまった。 肩の痛みもあるが、背中にナイフを刺された痛みもあった。 彼女は噛み付いたあとナイフで俺の背中を刺していた。 彼女は俺の肩を喰いちぎり、ナイフをなんども俺の背中に突き立てる。 刺されるたびに俺の背中から血が飛び散る。 俺の服は肩から流れる大量の血と背中から出る血で赤く色づいていく。 俺は離れようとするが、体から血が出すぎたのかどこにも力が入らない。 さらに片手なのに彼女の片手で抱きしめる力は半端ものではなかった。 俺が刺したナイフはかなり奥まで入り込みなかなか抜けなかった。 急に彼女の刺していた手が止また次の瞬間、 銃声が鳴り、俺と彼女は倒れた。 まだ意識は微かだが残っている。 後から誰かが歩みよって来る音が聞こえた。 そいつ俺の顔の横で止まり、銃を構える。 どんなやつか見たくて、顔を向ける。 そいつはまだ小学生ぐらいの小さな餓鬼で、 どこで手に入れたのかまったく分からない 銀色に輝く銃を構えていた。 「お兄さんやお姉さんみたいなのが世の中のごみと言われる存在だね」 なんて最高の笑顔を向けておきながら、 引き金を引きやがった。 そして俺はこうしてここにいる。 この牢屋と言う部屋に。