小さい頃の話。 俺には二人の幼馴染がいた。 アキバ系の剛史。 お姉さん気どりの智子。 俺たちはこの三人で仲良く遊んでいた。 俺が十歳の時、親父の仕事で東京行くことになった時、 こんな約束をした。みんなが二十歳になって、 4月2日、夜10時に秋葉原の駅で指輪をしてまた遊ぼうと。 何故指輪をしてかと言うと、 剛史が持っていた指輪がちょうど三つあったから。 友達であることの証として。 秋葉原に集まることになったのは、 アキバ系の剛史のお願い。 それに仕方なく、俺と智子は同意してそこに決まった。 固い約束をして。 俺はその時、こんなことを冗談で言った。 「もし守れなかったら。」 智子も冗談で答える。 「約束を守れなかったやつは死ぬ。ってのはどう。」 「「いいよ。」」 俺と剛史は声をそろえる。 「じゃな。」 そうして分かれてもう十年が経つ。 俺は有名会社の営業マンをしている。 こんなことを思い出したのも、 今日が4月2日だから。 しかも時間は夜の9時。 俺は家に帰らず、電車に乗り、 秋葉原に向かっている途中。 電車の中は込み合い、 押しつぶされながらも乗っていた。 あの日の約束を守るために。 秋葉原に着いた。 どこを見渡しても、智子と剛史らしい姿はない。 時計を見るとまだ9時45分。 待ちながらあっちこっち見回していると、 向こうから、手を振って女の人が近づいてきた。 智子だ。 その後を追い、剛史も登場した。 みんな昔と何もかわっていなかった。 みんなで久しぶりに会い、軽い挨拶を済ませた。 智子が場を仕切る。 「みんな指輪持ってる。」 俺は感じなことを忘れていた。 「実はさぁ、俺、指輪忘れたんだ。」 智子と剛史の顔が怖くなる。 「ほんとに言ってるの。」 「本気か。」 「だって十年も昔だぜ。」 「剛史、持ってるよね。」 智子が剛史に確認する。 「当たり前だろ。」 今度は剛史が智子を確認する。 「智子は。」 「持ってるよ。」 二人が鋭い眼で俺を見る。 二人は顔を伏せ、小さい声で聞いてくる。 「約束覚えてるよね。」 覚えている。 冗談で言ったあのことを。 「まさか死ねっていうのか。」 「約束だもん。」 二人は鋭い目で睨む。 俺は怖くなって逃げ出した。 駅から出て、町の中へ逃げ出す。 二人はものすごいスピードで追いかけてくる。 必死に逃げたが俺は捕まってしまった。 いつの間にかまったく人気のない路地にいた。 二人とも鞄にしまっていた、ナイフを出す。 「何でそんなもん持ってるんだよ。」 純粋な疑問。 「約束破るやつがいたら殺すために決まってるじゃん。」 二人が俺に迫ってくる。 智子が先に襲ってきた。 それをかわし、通り過ぎた智子の背中に回し蹴りを入れる。 智子は倒れナイフを手放す。 後ろに衝激がきた。 剛史だ。俺の背中にナイフを突き刺している。 俺はエルボをかます。剛史は腹を押さえ離れていく。 智子は倒れながらもナイフを取りにいく。 しかし、俺はダッシュし、智子より先にナイフをとる。 「ここからが俺と兄貴の約束だ。」 俺はまず、倒れる智子を無視して、 剛史に歩み寄る。剛史は脅えていた。 それを無視して、ナイフを突き刺す。 抜いては刺し、抜いては刺す。 それを繰り返していると剛史は後ろに倒れた。 これで剛史は死んだ。 今度は智子だ。智子は立ち上がることすらしない。 智子の顔に正面からナイフを刺す。俺は智子をを滅多刺しにした。 俺は二人の死体を見て思い出す。 兄貴のことを。 俺の兄貴は6年前リストカットをして自殺した。 その時に遺書を残していた。 「俺は人生に疲れた。だから死ぬ。 母さんと父さんには悪いことをした。 それと真也にはお願いがある。 お前も覚えていると思うが智子と剛史との約束がある。 それを潰しといてくれ。」 それが兄貴と俺との約束。 十年前の約束は、俺がした約束じゃなくて、兄貴がした約束。 だから、俺は十年経ったこの日に約束を果した。 すべてはオレの計算どおり。 二人から逃げたのも、此処に逃げ込んだことも、 二人が追いかけてくることも。 すべてがオレの思った通りに。 俺は二人の死体に、 「悪いな。約束だったから。」 そう言い残し、その路地から去っていった。 終わり
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